戦略PRによるダイバーシティ
 
 

10月5日、 菅義偉首相が企業の管理職を念頭に発した「女性、外国人、中途採用者を含めた多様性の確保が望ましい」というメッセージが注目を集めました。日本のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)浸透の機運が盛り上がります。PR会社の視点から、多様性を多面的に捉えます。

身近なダイバーシティを知る

その週末、東京青年会議所 品川区委員会 主催「世界と繋がる~2020翔け世界へ!」Zoomイベントに8歳の息子と参加しました。オンライン開催で敷居が低く、海外留学、海外の仕事とメリハリあるコンテンツがコンパクトにまとまった、とてもよいイベントでした。

まず主催者から「品川区は大使館、領事館が多く国際友好都市とも関係が深い」「ダイバーシティを高める取り組みとして商店街などとともに英語の浸透を進めている」といった趣旨説明。意識していなかった足元の多様性に、品川よいとこ、と地元愛が湧きます。

続いてオーストラリア、イタリア、メキシコへの留学を体験した高校生、大学生3人がプレゼンテーション。
「なぜ留学したのか」「どうやって留学先を決めたのか」「どうやって準備したか」「学んだこと」を発表。
各自、世界の多様性を実感した、日本のことをもっと知るようになった、自信がついた、と堂々とした肉声が心に響きました。

合間に、ABADA CAPOEIRAとともにカポエラ体操。 大人と子どもが 普段着のまま、多文化を感じながら一緒に走り回れるイベントは楽しいものです。

さらには、ニューヨークの外務省 国際連合 日本政府代表部 参事官 市場 裕昭氏が中継出演。「なぜ外交官になろうと思ったのか」「国連の仕事とは」「外務省の仕事とは」というご自身の体験を紹介。「世界195か国の中で、日本語を話す国は日本だけ」というグローバルの視点を示しました。

市場氏は、中学1年生の時に親御さんの奨めでボーディングスクールを体験。まず分からなかった英語が使えるようになる喜びから、外交官になろうと決めて実現。英語をスポーツのように身体に覚えさせることで、どのような外交の場でも、友好的で戦略的なコミュニケーションを形成しています。

家族と 楽しく自宅から、世界、多様な文化や言語、背景に触れる好機となりました。

PR会社から見る多様性

9月に発足した新菅内閣では、女性閣僚わずか2人。ジェンダー・ギャップが悪化の一途をたどる日本で、この偏りのいびつさを指摘する声はあります。

しかし、新内閣を評価する層になかなか届かない。「コロナという未曽有の危機の中で、現実的に舵取りできるメンバーを考えるとこうなるだろう」と思う心理に響かないからなのです。だからこそ、政治トップの首相自らの多様性推進メッセージが、国民の関心を得る後押しになるでしょう。

これは多くの企業でも同じ。経営陣選びで「今の会社の幹を倒さない、存続させられる経営メンバーは」と考えると、日本人のおじさん、お爺さん以外の選択肢を見落としがちです。

しかし考えるべきは、その幹の下、つまり根っこが弱ってないか
トップは、果たしてこのまま存続できるか、英断する岐路に立たされているのです。

グローバル企業、国際団体では、D&Iが徹底しています。少しでも国籍、人種、ジェンダー、ルーツ、身体的特徴などに配慮がない発言、表現、行動が生じないように注意を払います。多様性を確保する安心できる環境をことで、自己変革による成長を実現するのです。

あるべき当たり前とは何だろう、を考えさせられるダイバーシティ・ギャップが明らかです。

自らの一歩、ひと声からの発見

PR総研では、昨年末から国際団体と交渉し、日本国内のD&I事例を取材。数々のイノベーションをもたらしている体験談を目の当たりにしました。D&Iは組織、社会の力の源泉であり、決して輸入モノではなく自発的に生まれている潮流なのです。

こうして国内にD&Iの好例が転がっていても、気に留めてもらうことは難しい。書いても発信しても、読者の反応は薄い。D&Iは変化をもたらし、既得権益の儲けにはならないため、なかなか受け入れられないのです。だからこそ、D&Iの力を信じて、声を上げ続けるしかない。

D&I取材で特に印象が残ったのが、原体験がもたらす原動力です。
ピープルデザイン研究所 代表理事 須藤シンジ氏が述べる、D&Iに必要な要素

自分ごと、原体験

ピュアな豊かさ

海外経験


それは、上述のイベントに登壇した4人とも共通しています。

D&Iにうとい日本。国内にいたら国内の常識が100%と思いがち。しかし世界からみたら非常識でもある。それほど、世界を阻む日本語、日本人、日本文化の壁は高いのです。

自分のあたり前は人のあたり前とは違う、という前提に立たないと、多様な人と友好的な関係、パブリックリレーションズ(PR)は築けない。それは守りだけでなく攻めなのです。

コロナで遠出しづらい今こそ、オンラインを駆使したピュアな豊かさ、海外とのつながりを通して、新しい原体験を生む時。
日本の根っこが腐らないよう、社会に栄養を与えて活性化する、D&Iを浸透させましょう。

共同ピーアールは広報、広告も駆使して、SDGs達成、ダイバーシティ経営を実現するPR戦略遂行を支援しています。

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