PR会社の選び方、使い方 -その2(選ぶ)

PR会社の選び方、使い方 -その2(選ぶ)
 
 

前回に続き、 クライアント企業としてPR会社を調べたら、ではどう選ぶか、を考えましょう。企業の広報担当者(インハウス広報)としてまずは自社の棚卸をし、段階的に情報集約するのがうまくいくコツです。

PR会社選びの順序

今回は下記3ステップの第2回です。

PR会社について知る
・PR会社を選ぶ -【今回】
・PR会社を使う

知ることとは違う、PR会社選び

業務を委託するPR会社を調べ、候補を絞り込む段階が終わると、そこから本当のPR会社選びが始まります。

まず最低限準備するとよいのが、自社のゴール、現状、課題、依頼内容を詳細に文書化した提案依頼書、いわゆるRFP(リクエスト・フォー・プロポーザル)です。ここで、前回作った ケミストリーを含むチェックリストを活用しましょう。

グローバルビジネスの場合は、各国で文化の違いがあるため、RFPには、求められる人材像(仕事に対する情熱、創造性の重視など)を入れるのも有効です。なぜならそれが、PR会社のチームメンバーの提案に反映されるからです。

なお、PR会社の提案に不可欠な秘匿情報は、NDA(秘密保持誓約書)を結んでリスク管理の上、必ず入れましょう。

PFPに盛り込む内容(例)

企業紹介 ミッション、ビジョン、創業ストーリー、社歴、沿革、経営体制、経営陣、カルチャーなど
目標と課題 企業のゴール・現状・課題、PRのゴール・現状、課題、社内(インハウス)チーム、 SOW(業務範囲)、KPI(重要業績評価指標)など
提案依頼 現状分析、戦略策定、必須活動、新規提案、ベストプラクティスなど
期間と予算 クリッピングなどの実費込みの想定予算と期間(年間xx円など)
チーム 必要な業務量、スキルセット、マインド、チーム構成

なぜRFPが必要か

PRの日常業務に加えRFPを作るのは、手間で時間がかかるものですが、面倒でも必ずお薦めします。なぜなら、RFPを作ることで自社の不文律を明文化し、社内外を通してPR活動の目的、目標を見える化できるからです。

グローバル企業が世界的にPR会社を選ぶグローバルピッチの場合は、RFP作成自体が英語なので、英語が苦手な人には重荷になるかもしれません。 ですが「RFP作る時間がないので口頭で伝える」「とりあえず何人か会って、何ができるか聞く」といった選び方をすると、限られた予算と時間、候補から、持続性の高いベストな選択をするのが難しくなります。結果、PR会社を変える際のスイッチコスト(乗り換え費用)が高くなり、関係者全員のストレスも高まり、負担が増す悪循環になりかねません。

一方で、よくPR会社の選定理由として「昔からお願いしているから」という声も聞かれます。同一PR会社を使い続けるメリットは、互いに経験値を積み、コミュニケーションの摩擦がなくなり、仕事がスムーズになる点です。しかしながら、今のPR目的、目標に沿った依頼内容、活動になっているか、定期的に見直し改善するプロセスが、受発注側の双方に必要です。

なお、せっかくRFPを作っても、PR会社に提案させるときに失礼な態度を取る 、返事をしないなどビジネスマナーに反すると、結果的に自社のブランドイメージが悪くなります。「RFP損」をしないように、くれぐれも気をつけましょう。

さらに上級者はRFP前のRFI

さらにRFPの質を上げるためにはRFP以前に、上述のPR会社調べの一環で、魅力を感じる数社ないしは1社に、FRI(リクエスト・フォー・インフォメーション)等の理由で接触します。どういった会社かを事前にリサーチして、最適な選択肢選びと、それに係る社内ストレスと労力がかかる調整を、よりスムーズにすることができるのです。

日本のPR会社は英語スキルが確認しづらいため、外資系企業はRFIを積極的に使います。一般的にあるケースは、海外からメール等で電話の約束(アポ)を取り、担当者と10分ほど会話をするというものです。日本に判断権限がある場合は、日本人責任者が直々にPR会社と会うこともあります。

互いに準備する時間がほぼ無い中での接触になるため、互いに素を見せて話ができます。言葉が通じるか、相性に問題ないかを確認することができるのです。

  • PFIのポイント
依頼先 広報機密が漏れないように慎重に選ぶ
信頼できる人(元同僚、同業他社、記者など)の情報を判断材料にする
コンタクト方法 まずはメールやメッセージ、それから電話や対面など
文章も声も通して語彙、人となりなどを把握する
接触 1回に10~30分など
最低限の時間の中で集中してPR会社・担当者の能力を把握する
調整 PR会社選定プロセスをスムーズにする
RFPから活動開始までを最短化する

また、PR会社のブランドも参考になります。それを知るためには、自社の事業ドメインをカバーする媒体の記者のパーセプション(見方)を聞けるのがベスト。「あのPR会社は調べもしないで電話してくる」「自分の売り込みが強くてクライアントの話にたどり着かない」といった悪評があるPR会社は要注意です。もちろん評判は生もの。私たち自身も、「おたくは」と注意してもらって改善しているので、絶対とは言いません。何よりも、どのPR会社かよりも、どの担当者か、が仕事に直結します。

次回は、PR会社を使うPDCAサイクルのベストプラクティスをご紹介します。

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