メディアが描くコロナと「デジタルの日」
 
 

2021年から、10月10日および11日が国をあげた「デジタルの日」記念日となりました。デジタルに触れ、使い方や楽しみ方を見つける機会として、678の民間企業や団体が賛同、学術、産業、芸能界が参画してセミナー、シンポジウム、コンテスト、スマホ教室、ライブなど様々な取り組みが展開されると牧島 デジタル庁大臣は10月8日の記者会見で述べました。ここに様々なPRのヒントがあります。

記念日とメディアの役割

記念日は、社会におけるひとつの指標となり、定期的にものごとを知らせ、考えさせてくれます。PR総研ではコロナ禍早期の昨年、「みんなで考えるSDGsの日(3月17日)」を記念日制定し、「み(3)んなでSDGsの「17」の目標を考えよう」という提言を毎月実践。1周年を迎えたこの3月には報道関係者を対象とした調査PRを実施し、トレンドと考察を発表しました。

ビジネスの世界では、フルタイム労働で「女性が男性の1年より余計働いて、男性1年分の賃金と同額を手にする日」を示すイコール・ペイ・デイが、2021年日本の場合5月6日であると日本BPW連合会から発表されました。日本で女性は正規雇用で男性より半年近く長く働いて初めて、男性と同じ給料をもらえるという、経済格差の現状を浮き彫りにしています。

さて、世界経済フォーラム(WEF)が今年初めて公開した「社会を映すメディアとエンターテイメントにおける多様性の表現ホワイトペーパー2021*」は、COVID-19による不平等の悪化を色濃く描いています。広告表現において伝統的なステレオタイプではない役割で描かれている女性はわずか7%。広告における女性の最も一般的なステレオタイプ像は、母親(39%)と主婦(27%)。コロナにより社会的役割の自由が狭められているのです。こうした格差拡大とともに、ロールモデルの広告表現にも遅れが生じ、女性が発言する機会や話す役を演じる機会、仕事をしている姿を見せる機会も2020年3月以降減っています。

上述の日本BPW連合会が9月18日に実施した、イコール・ペイ・デイのZoomイベントには、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 執行役員/主席研究員の矢島洋子氏が「コロナ禍とジェンダー平等」をテーマに登壇しました。独自調査の結果から、コロナ禍による女性とくに非正規社員へのしわ寄せや、専業主婦および幼児を持つ父親世代の長引くオンライン就業による世帯生活への負の影響、正社員・20代から始まる男女の賃金格差、ゼロサムゲームではなく全体を引き上げるためのポジティブ・アクションの理解と活用といった広範な構造分析を述べました。

「従来の日本企業的アプローチのダイバーシティ推進は、旧態依然の組織のあり方をそのままに新しいタイプの人を採用して終わっている、マイノリティ支援であり、イノベーションは起きない」と述べ、多様な社員のニーズに即して会社運営を見直し、すべて人の働きやすさ、働き甲斐、社員の多様性が職場や経営に新たな可能性をもたらすのが先進的ダイバーシティと定義。「新しいタイプの人材を受け入れられる組織になるための変革と、意思決定過程に新しいタイプの人材の能力が発揮されることでインクルージョン(調和)が実現し、二段階のイノベーションが起きる」と述べ「女性活躍推進もこの文脈」と指摘しました。

メディアには、こうした不平等拡大の阻止や、未来への提言を伝えていく力があり、それを支えるのがPRの任務です。

大切な人に「#デジタルを贈ろう」

翻って今年のデジタルの日のテーマは 「#デジタルを贈ろう」です。

デジタル庁は

「たとえば、祖父母に、タブレット端末を贈る。
子どもと、プログラミング教室に行ってみる。
仕事なら、業務のデジタル化にチャレンジしてみる。

馴染みのないデジタルを知り、触れる機会を、
あなたの周りの大切な人と作りませんか。
もっと楽しいかも。より便利になるかも。

そんなみんなのアクションが、
日本の「人に優しいデジタル社会」を進めていく
きっかけになることを願っています」

と呼びかけます。

コロナ禍2年目もあと四半期足らず。まさに次の時代へのPRチャレンジに挑むチャンスです。

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