変わる六次のへだたり
 
 

早稲田大学大学院(WBS)にて 取材 したリップシャッツ信元夏代氏*「世界で勝てるプレゼン術講座」の後は、主催者の川嶋治子氏( ウーマンズ リーダーシップ インスティテュート代表取締役)とともにお話する時間がありました。 SNSで人がつながりやすい時代だからこそ、その人の“確からしさ”というのは、信頼できる人を媒介して構築、共有されるものだとつくづく感じ、新たな気づきがありました。 参考:IABC APACウェビナー 録画:YouTube スライド:SlideShare  *著書「ストーリーに落とし込め 世界のエリートは自分のことばで人を動かす」(フォレスト出版)発刊予定  

3人介せば世界はつながる?

六次のへだたり(シックスディグリー・オブ・セパレーション)という言葉を聞かなくなって久しい気がします。すべてのものごとは6ステップ以内でつながっている。つまり、6人を介せば世界中の人が間接的な知り合いになる、という概念です。(Wiki参照)

わたしはこの取材の前に川嶋氏と、日経xwomanアンバサダーの枠組みを通して知り合いました。一方で、ワールドマーケティングサミット東京 2019にて早稲田大学 大学院経営管理研究科 川上 智子 教授の講演を取材したところ、なんと川嶋氏が門下生であることを知りました。そしてリップシャッツ氏も早稲田大学の卒業生。

「世界は狭い」と人の輪がつながりました。その他にも共通の知人はそこかしこにいて、いまや3人も介せばたいていの人が間接的な知り合いなのでは、と思うほどです。

人のつながり、情報の確からしさをもとに「それは取材せねば」と早稲田キャンパスを訪れたところ、噂にたがわぬ洗練された質と熱量の高い講演に満足しました。

リップシャッツ信元夏代氏 (左)、 川嶋治子氏 (右)

日本、女性だからじゃない

その後、両氏のポッドキャスト(前編後編)を聞いて共感したのは、スピーチの成功を左右するのは、どう話すかのノウハウではない、ということ。自分が誰であり、相手が誰であるかを理解、分析して距離を埋めて、何を伝えるかを考え抜くことが大切なのです。それが、リップシャッツ氏が述べるロジカルシンキングをもとにしたスピーチ構成に凝縮されています。

わたしはこの取材の直後、リップシャッツ氏に「日本向けにコンテンツを変える必要がありますか?」「女性であることでビジネス上困ったことありますか?」と質問しました。すると答えはいずれも「いいえ」。これは意外でした。

なぜなら、日本には日本語という言語障壁や、謙遜、あうんの呼吸、忖度など独特の文化がある。それに、世界でもいまだにジェンダーギャップがあるからです。

しかし上述のポッドキャストで腑に落ちたのが、スピーチを左右するのは、国、人種、ジェンダーなどではない、ということ。自分の軸、意見を持って、相手を正しく理解し受け入れて、相手に伝わるように話す、という人としての基本的な姿勢、思考が必要だと腹落ちしました。

ポッドキャストで両氏が指摘したのが、日本では全般に人が枠にとらわれがち、何々をすべきと考えて動く、ということ。

それは日本人の優秀さや勤勉さにつながっていますが、グローバルビジネスでは日本人だから、女性だからという理由で話を聞いてもらえるわけではない。あなた自身がどういう意見をもっているかだけが焦点なのです。

だからこそ、上述の質問をした時点でわたし自身が国、ジェンダーの色眼鏡をかけた答えを期待していたことに気づかされました。

インクルーシブの第一歩

今般のコロナウイルス対策における在宅勤務・教育は、これまでと異なるコミュニケーションや働き方、学び方をもたらしています。おのずと、新しいことづくしからくるストレスも生じます。

授業がない小学生の息子は、 自習教材を前に 「答えはーーー!?」と泣きわめくので、仕方なく回答集を見ると、答えは見事に割愛されていました。わたしは「考えろ」という素敵なメッセージが隠されているように思い、ニヤリとしました。

スピーチを上手くなろう、答えを探そうとするよりも、思い込みの枠を取り払うことが先決です。自分の答えはなにか、自分の内面を掘り下げることが先決でしょう。

何人だから、ジェンダーは何だから、有利だの不利だのを唱える前に、「自分は何者ですか」を考えること。それが、ビジネス以前に人として大切だ、と気づかされました。

自分だけにしか出せないメッセージはなんでしょう。それを大切にしていきましょうよ。そしてPRすることが、だれもが生きやすい社会、インクルーシブの第一歩です。

参考:IABC APACウェビナー多様性とインクルージョンがもたらすイノベーション」 録画:YouTube スライド:SlideShare 

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