人工知能が助ける、人間中心の「広告と広報」とは?
 
 

コロナに負けず、歴代の興行収入ランキング1位の記録を打ち立てた映画『「鬼滅の刃」無限列車編』。我が家も親子3人で、三密を避けながら鑑賞、その大迫力を堪能しました。日本中を魅了する世界観に「さすが…」と唸るのも束の間、なんと共同ピーアールのグループ会社、映画専門の宣伝会社マンハッタンピープルがPRを行っていて驚きました。灯台下暗しに「え~~っ!」と声を上げ、手前味噌にも「すごいね~」と興奮してしまいました。

映画専門の宣伝会社|株式会社マンハッタンピープル

AIが人の仕事を奪う、と恐れたのはひと昔前の話。AIによりメディア、ツール、テクノロジーともに驚異的な進化を続ける今、人工知能を用いて人ができないことを実現し、社会を補完する時代です。その動きは広告、PRといったデジタルマーケティング領域、通称デジマがけん引しています。

デジマの知識は広報PRの実務者にも必要です。概念やツールの使い方はデジタルマーケティングを学ぶ人材育成オンライン講座 デジマナ などの学びの場で修得できます。一方で座学だけでは完全に修得しづらい、体験や経験が必要な分野もあります。それはコミュニケーション、マネジメント、リーダーシップ、コーチングといった対人能力です。現在の人工知能研究で「人間中心のAI」が掲げられているのは、こうした人間性、人道性の基礎となる、データやアルゴリズムだけでは判断が難しい問題の解決が必要だからです。

デジタル時代の基礎知識『広告』人と商品・サービスを「つなげる」新しいルール』(翔泳社)で著者の小林 慎一氏は、「技術の進歩によって、広告が広告の領域を飛び越えて様々な体験に関わるようになっている」と述べます。Appier チーフAIサイエンティスト、台湾国立清華大学准教授のミン・スン氏は「オンラインの多変量テストによる予算配分の継続的な最適化をしなければ、キャンペーンはもはや成立しない」「最先端の自然言語処理(NPL)と深層学習(DL)によるコピー、画像、記事の生成なしに、最適な広告運営はできない」と指摘します。

東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授 山崎俊彦氏は、DLを基にした「魅力工学」の研究を進めています。これは広告、プレゼンテーション、ソーシャルネットワークにおける人気度、レコメンデーション、マッチングなどの分析に応用できます。広告分析において、効果の高かったオンラインバナーと効果の低かったオンラインバナーをそれぞれ1万点収集し、魅力工学を適用したところ、およそ70%の精度で効果の良し悪しを予測できたというデータがあります。

東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授 山崎俊彦氏
魅力工学を適用したバナー広告の精度は 70%、人間をはるかに上回る

一方、山崎氏の研究に広告代理店の協力を得て、7年以上の経験がある社員の7人にも予測してもらったところ、精度は平均52%に留まりました。つまり、オンラインバナーのように大量なデータの複雑かつ高速な組み合わせが求められる業務こそ、AIに人間の創造性を補完してもらう最適な分野といえるでしょう。

東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授 山崎俊彦氏 (左)、 Appier チーフAIサイエンティスト、台湾国立清華大学准教授のミン・スン氏 (右)

上述の小林氏は、デジタル時代の広告クリエイター観について、「進化したマシン(筆者注:データ&AI)を操りながらアイデアを考えることは、とてもワクワクすること」と期待を寄せます

さて冒頭の話に戻ると、8歳相手に「広告と広報の違い」「PRとは」を語り、次世代を「AIと人間の共創」にいざなうのでした。

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