コロナによるグローバルPR変革事例
 
 

世界中がコロナ禍に見舞われて1年以上が経過するなか、PRの現場ではコミュニケーション手段を刷新しながら新しい日常を構築しています。 IABC Catalystへの寄稿をもとに、日本の最新事情を加筆して4回シリーズでグローバルPRトレンドを紹介します。第一回は「テクノロジー導入によるDXと文化づくり」を取り上げます。

COVID-19がグローバルPRにもたらした変化

COVID-19とともにPR会社でも実質的にすべてのイベントがオンラインに移行しました。共同ピーアールにて支援するテクノロジーブランドのお客様では、Zoom、Microsoft Teams、YouTube Liveなどの動画プラットフォームの利用が浸透しました。またランサムウェア攻撃などのサイバーリスクを軽減すべく、添付ファイルのメール送信の代わりにMicrosoft SharePointやBoxなどのクラウドストレージを利用するようになりました。さらには、DeepL や Grammarly などの翻訳アプリで人工知能(AI)を積極的に活用して、日常の言語の壁を超えています。。 PRのデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速しているのです。

こうしたコミュニケーション変革により、日本在住のお客様や記者の方々と、台湾、シンガポール、香港、オーストラリア、スペイン、ドイツ、イギリス、アメリカといった世界の国々が定期的につながるデジタルの架け橋が、瞬く間に広がりました。

マイクロアグレッションをなくし異文化・多言語をつなぐ

海外とつなぐオンラインのイベントでは、日本の常識から見た感覚の違いや、暗黙の了解のすれ違いが起きやすいため、日常の言動や行動に潜む否定「マイクロアグレッション」を意識することが重要です。その理由は、自分にとってのあたり前が予想しない形で他の人と異なり、相手に不快や嫌悪感を抱かせてしまうことを防ぐためです。

例えば、英語が共通語の外資系企業では、日本語そのものが非日常なため、日本の人がわかるように翻訳や通訳が必要となります。しかし英語が日常言語である人によっては、英語での読解や理解、発言が難しいという苦労をなかなか想像できません。それが「翻訳にかけるコストがない」「その英語は美しくない」など、ふとしたところでコミュニケーションを妨げる発言につながってしまうのです。これは逆も然りで、日本に居ると日本語を読めない人の感覚が分からずに、「普通に」日本語のメールやファイルを他言語の人に送ってしまい、後になって通じていないと気づくことも決して稀ではありません。こうしたすれ違いは時間のロスと、互いのいら立ちにつながりかねないことをあらかじめ心得ましょう。

声の大きさや発言の多さにも地域性や国民性が現れます。例えば日本のように 「空気を読む」という文化がない相手に不快を示しても、理解されないだけで互いに居心地が悪くなってしまいます。また、人前で質問したり、意見を述べたりすることに臆してしまう日本の感覚が伝わらないと、相手から「何を考えているか分からない」と不審に思われることもあります。そしてこうした違和感は往々にして「失礼だ」という怒りに変わるのです。

だからこそPRチームは、あらゆるビジネスコミュニケーションの場で、無意識であっても人を阻害してしまうような態度や言動、表現をなくす気配りが常に必要です。そのためには、情報の発信者と受信者それぞれの多様性にアンテナを張り、形や表現よりも真意や人間性そのものを伝える努力が求められます。こうしたPRにおける包括性(インクルージョン)の促進が欠かせないのは、お客様はもちろんスピーカーに対しても、記者および関係者、同僚に対しても同様です。

次回はオンライン会見の具体策を紹介します。

原文: Innovation in Global PR to Overcome the Pandemic

運営者情報
共同ピーアール株式会社

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