WFH ワーク・フロム・ホーム時代の海外PR

WFH ワーク・フロム・ホーム時代の海外PR
 
 

コロナ対策も早5カ月目。PRの現場では、刻々と変わる状況に沿って「勇気ある判断」を続けています。ビジネスを通して数多くの仲間が、新しい世界を切り拓いているのです。最新のテクノロジー企業PR事例を紹介します。

空間を超える思いやりのうねり

コロナ拡大の初まりは2月。いち早く対応したVeeamとAppierのを紹介したのはまるで昨日のようです。それからは海外渡航はもちろん外出もできない日々が続き、テレワーク、在宅勤務があっという間に日常に。「ワーク・フロム・ホーム( WFH )」が世界の共通語になりました。

同時に各国のビジネスパーソンたちが、人の時差を考えて自分の時間を調整し始めました。 相手を思いやり「こんばんわ、こんにちわ、おはようだね、ありがとう」「ではよい眠り、朝、午後を」と言葉をかけます。

つらいニュースが続いても、 自分の立場や技術や製品が、どう人の役に立てるかを考えて行動。 一人ひとりが親切なコミュニケーションをとるよう心がけ、画面越しにやさしい空気があふれるようになりました。コロナをチャンスに変える、思いやりのうねりが広がっています。

人間中心のAIを日本に

AI企業Appierの チーフAIサイエンティスト、ミン・スン氏 は、各国メディアのリクエストに応えて、台湾からビデオ会見や寄稿を続けています。COVID-19対策へのAI活用法を紹介するとともに、世界で研究が進む「人間中心のAI」の取り組みの重要性を訴えます。サイエンティストであると同時に台湾清華大学准教授という立場から、 4月1日~16日には日本経済新聞の「やさしい経済学」連載に「AIの今、その先の変革」と題し寄稿しました。

真摯なAI研究が世の中に役立つよう、 毎回、新しい切り口に挑戦。 ひとつひとつの発表の前に作戦会議。こちらも日本のPR会社として、忌憚ない意見を交わします。 スピーカーと裏方の一致団結です。

今何が必要か、そのために何を伝えるか、常に真っすぐ追求。 新型コロナウイルス感染拡大のもとAIが果たす役割、 AIサイエンティストの知見、データサイエンティストやマーケティング担当者の役割提言など、途切れることなく発信しています。

オンラインイベントの癒し

IT企業(クラウド・データ・マネジメント)のVeeamは、ラスベガスで予定していた年次イベントVeeamON 2020をオンラインに切り替えて実施。 6月17~18日の2日間、アメリカを拠点とする経営者たちが、昼夜問わず自宅から取材や会見に臨みました。世界からそれぞれの時間帯に合わせてサインアップできる形式により、 148カ国、2万5000人と過去最高の参加者数を記録しました。

Veeam Software 最高技術責任者(CTO)兼製品戦略部門シニアバイスプレジデント ダニー・アラン(Danny Allan) 氏

今はまだほぼ誰もが 、こうした世界規模のオンラインイベント運営は手探りです。毎日続くおびただしい数の企業コンテンツは、あいにく必ずと言っていいほど、どこかで障害があり落ちています。

自分自身、視聴者としても提供者としても、最大の懸念は取材する記者の方々。その心配、消化不良、疲れを解消するために、同僚や仲間と情報交換、研究して手を打ちます。必要なのは、何か教わったことを模倣するのではなく、自分で考えて自信をもって行動する力です。

こうして時差の計算、万一つながらない場合の不安と戦いながら、オンライン講演が始まる。するともう腹を括るしかありません。

一視聴者として見ていると、登壇者の人となり、素の良さがよく見えます。自宅で遠方のサポートを受けながら、自分自身でエネルギーレベルを高めていくスピーカーたち。それは、かつてのように海外から飛んできてお付きの者に囲まれた時の「偉い人モード」とは違い、ためらいがありません。 その内側の輝きが、画面に映るのです。

身内として嬉しく聴講し、 「ほんとやさしいよね~、イケメンボーイ」「へー、Oの発音がouになっちゃうんだ、かわい~」など勝手なことつぶやきながら、煎餅片手に楽しみます。

冗長ハイブリッドで伝える

今回、Veeam日本法人では記者会見を 、 2回目となるリアル(会場から)とバーチャル(オンライン)のハイブリッド形式で行いました。リアルの利点はもちろん、対面でお話できるため技術的なコミュニケーションロスがないこと。表情、動き、空気を通して最もよく伝わります。一方で、オンライン障害が生じてしまえば、誰も登壇できないというリスクもあります。

そこで、会場に複数のプラットフォーム、回線を準備し、リハを重ね、完全冗長環境を準備しました。白状すると、前の週は不安で不安で眠れず、頭痛に悩まされました。

前回のハイブリッド会見と違ったチャレンジは、リアルとバーチャルの比率の逆転でした。2月時点ではリアル参加が9割のためシステムダウンの心配はほぼありませんでしたが、6月時点では真逆。モニターに並ぶ無数の記者アイコンを前に、失敗を許されない緊張感が走ります。

オンライン画面には登壇者スライドと豆粒ほどの顔しか表示できない。そのためライブ感が足りず、質問を引き出すにも苦労します。こうして駆け抜けた会見終了後は「よかった~~~!!」と心の中で万歳。満足をこっそり聞かせてくれた記者、その日ぶらりと現れてくれた記者、質問を寄せてくれた記者、時間を作ってくれた記者…ひとりひとりに涙目で感謝したくなります。リラックスして登壇してくれたスピーカーの笑顔にホッとしました。

ヴィーム・ソフトウェア株式会社 執行役員社長 古舘正清氏

全てのイベントを終えて心に残ったのは、 Veeam CTO、ダニー・アラン(Danny Allan) 氏の言葉。「この3ヵ月の在宅勤務で、旅行がなくなり、外食にも行けなくなった。 もはやCOVID-19前になることはない」「だからデータを最大限に使い、AI(人工知能)、ML(マシンラーニング)で再利用し、新しいものを生み出すチャンスなんだ」「企業が、レストランが、全員がデジタルトランスフォーメーション(DX)に大きく歩み出した」と目をキラキラして語ってくれたひとときに心癒されました。

取材協力:ヴィーム・ソフトウェア株式会社Appier共同ピーアール株式会社

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