世界の多様性~剣道と英語の交差点
 
 

前回に続き、オランダにてSDGs実践企業を取材するライター、Freelance journalの佐藤まり子氏を取材。日本で生まれ育った佐藤氏がなぜ、剣道の国際普及を推進するのか。さらには実践しやすい英語のマスター法まで、PR会社、PR総研の視点で紹介します。

世界剣道が広げる日本文化、強いリーダーシップ

佐藤氏の人生の柱のひとつが、中学校1年から続けている剣道。儒教・仏教・神道など宗教の影響を受け、伝統的に上下関係を重んじる武道です。「剣道には、日本人が無意識に大事にしてきた慣習や思想が宿った精神性がある。それに加え、最高位八段からなる高い競技性もある」と佐藤氏は述べます。そこに魅力を感じ、海外の剣道家が増えているのです。

 剣道には、ダイバーシティ&インクルージョンを考えるヒントがあります。剣道において、日本国内にとどまらず海外でも尊敬を集めるのは、段位のみにとどまらない人間性だからです。「剣道では、言葉に一貫性があり、実力が伴う人。自分の世代だけでなく若い世代の意見も積極的に取り入れられる人、が尊敬される」と佐藤氏は述べます。

企業同様に剣道でも、組織の腐敗や権力の集中による不公正を許さず、ダメだ、と言えるトップがいることが変化につながります。清いところだけにはならなくとも、濁りだけだと業界の発展につながらない。強いリーダーが必要」と述べる佐藤氏の言葉は、ビジネスにおける多様性拡大のためのリーダーシップの必要性を示唆しています。

佐藤氏が海外で剣道を伝える上で実感するのが、相反する2つ。ひとつは「日本で通じる『暗黙の了解』が通じない」、もうひとつが「日本の文化には力がある」ということです。例えば、海外で剣道を始める幼い剣士たちは、父母のいずれかが日本人だとしても、いわゆる日本の日本人とは異なる「前提」や「常識」を持ちます。生まれ育った国が違う剣士同士では、さらにわかり合うことが難しい。

そうした国籍や文化、人種の溝を埋めながら一緒に剣道に打ち込むために、あえて書道や折り紙などの日本文化を伝えるアクティビティを取り入れるのが有効だと言います。一見、剣道には関係ないアクティビティをしたとしても、日本文化を体験することでわずかでも剣道への理解が深まります。すると人は惹きこまれ、結果的に剣道人口が増えていきます。「心がつながるには、違いに気づくイベントが大切。そうすることでアンコンシャスバイアスに気づく」と語ります。

「世界の剣道に日本の良いところを取り入れつつ、様々な立場の意見を取り入れ議論、参加者が納得していくことが組織運営の成功につながる」と佐藤氏は考えます。日本のスポーツや体育会系が指摘されるいびつな縦社会を打破し、世界で尊ばれる剣道の価値を日本に逆輸入すれば、剣道の未来は明るいはず、と普及活動に光を見出します。

嫌な思いをさせずに組み立てるオランダ流

オランダは変化を起こしやすい、変えやすい雰囲気があると言います。日本ほど上下関係がなく、問題解決を先回しにすることはない、と述べる佐藤氏。九州ほどの面積に180カ国に上る人種が集まるオランダでは、相手に不快な思いをさせずにアイデンティティや考えを確認するのがうまい、と感心するそう。

「否定せずに、『あなたはこう思っているのね、それを受けて私はこう思う』とちょっとずつ会話を組み立てていく。嫌な思いをさせずにコミュニケーションを組み立てる」というオランダ流の対話が、人間関係の多様性を包摂する秘訣のようです。「誰かと働くときに必要なのは、 相手が日本人同士であったとしても、まず 前提の共有。自分にとっての常識が、相手にとっての常識とは限らない、というあたり前のことを再認識する」と述べます。

なお筆者のイギリス出身オランダ在住の友人は、「オランダはイギリス、アメリカと並ぶ世界市場の中心地」と語ります。実際、街中どこでも英語が通じるため、商談や出張の場として地の利があります。加えて、対話を促すオランダ文化が、世界のタレントを惹きつけているのでしょう。

3つの英語マスター法と、これからの夢

自ら思い描いた海外移住を30代で実現。今では日英バイリンガルのライターとして、SDGs実践企業の取材を英語で実施、日本語の記事確認のために英訳して校正作業を行っています。世界が広げるための英語マスター法には、足かけ20年近い蓄積がありました。

日本の中学、高校で英語教育に触れた佐藤氏が、目覚めた1段階目は大学時代、中学英語の文法丸暗記した時でした。アルバイトで集団塾の塾講師となり、たまたま英語を受け持つことになって、改めて中学英語を復讐。とにかく文法を丸暗記したことが土台となり、「中学英語ができれば英会話できる」がまさに実体験となりました。

2段階目のきっかけは大学2年時。世界一周クルーズのピースボートに参加し、103日間の船旅に赴き、そこで毎日、英語の生活。寄港地では友人の間でガイド役を務めるなど、生の英会話の実践に熱が入ります。自分の英語が通じる、と自信がつくようになり、社会人になっても友人とカフェなどで英語の勉強を続けます。

3段階目がTOEICです。試験に申し込み嫌が応でも勉強せざるを得ない状況に自分を追い込めることと、受験して点数が上がっていく楽しみが重なり、実力向上につながりました。間が空きながらでも試験を受けることで、ゲームのようにステップアップできると言います。

今なら「英語が苦手な大人のDSトレーニング もっとえいご漬け」などゲーム感覚で遊べる教材も豊富です。

「英語に必要なのは絶対的な勉強時間」「友達と仕事帰りに勉強、が続く秘訣」と述べます。

佐藤氏は今後、取材で学んだことを人々の日常に役立てられるように製品やサービスの提供と活動を広げるほか、拠点を日本に写し武道ツーリズムを展開したい、と意欲的です。日本の文化を守りつつ、観光産業として剣道を育て、日本の少年少女剣士たちの国際化にも役立ちたい、と広がるPRに夢を抱いています。

運営者情報
共同ピーアール株式会社

拠点を日本に写し武道ツーリズムを展開したい 」と語るオランダ在住ライターFreelance journal佐藤まり子氏

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