ラッパーと紡ぐフェミニズム
 
 

日経xwoman アンバサダーブログから新着情報です。4月30日までの限定公開、日経WOMAN編集部のミュージックビデオ(MV)が、背中を押してもらえるのでお薦め。そして現場シーンが共同ピーアールか(失礼)と思うほどリアルで親近感!ひたすら上戸彩さんの表紙押しがクスッと笑えます。コロナ禍で心がささくれそうな今だから『余裕』という楽曲が染みる。ラップミュージシャンのあっこゴリラさんの記事、必読です。 参考:IABC APACウェビナー 録画:YouTube スライド:SlideShare 

女性を知ることはそれ以外を知ること

わたしがフェミニズムの研究、女性学に最初に触れたのは1990年代半ば。ニューヨーク州の真ん中にあるニューパルツという小さな村で、イギリス紳士の教授から受けた指南は衝撃でした。自然豊かなのんびりしたキャンパスの講義で、教授が発した「わたしは男性だから女性学を研究する」という言葉が、自分の見識の狭さを気づかせてくれました。

男性教授が教える女性学の要は、「同じような人と団子になっているのではなくて、違う人のことを理解しないと、自分の偏見に気づかないですよ」というメッセージでした。そこでは世界中の家父長制にも夫婦別姓にも、さまざまな見方があることを知りました。

ラップに開眼、心は民謡

当時でも、ニューヨーク全土から集まる州立大学の学生の多くは、決して裕福ではなく自ら奨学金を背負っていました。大都市ニューヨーク(NYC)に生まれ、黒人だからという理由で家族や友人が日常の道端で命を落とす毎日に、怒りを覚える同級生たちは、よく寮で夕食後のひとときにミニラップ大会を開いていました。

わたしもよく「カズコも来る~?」と入れてもらって、まぁうまく即興で韻を踏んで歌い踊る彼らのラップに「すごいね~!!」と心を奪われていました。

キャンパスにはさまざまな人種、移民、留学生がいましたが、やはり普段は同じグループで固まりがち。わたしにとっては、怒りを音楽に昇華し、笑い、偏見に屈せずに生きる学生ラッパーの仲間のすべてが新鮮でひきこまれました。ラップはわたしの大好きな同級生たちの民謡でした。

この記事で語る、ラッパーとして苦難を乗り越えたあっこゴリラさんのメッセージは明快です。大切なのは「性別や年齢、国籍などの『らしさ』にとらわれていることを解体して自分自身を取り戻すこと。その上で、バラバラなお互いの多様性を尊重し合うこと。」

鋭い指摘は「無意識に『差別』をしている人が本当に多いので、まずは、自分が持っている差別の感覚を自覚すること。」と続きます。
まったくもってその通り、1000%同感です。

90年代!

未来のために名前まで変える

実は母校ニューパルツ校のキャンパス棟群、総称ハズブロックはちょうど1年ほど前、長い議論の末に名前を変えました。わたしは数年前から卒業生としてメルマガ登録をしている(四半世紀前の留学生データまでデジタル化が進んでいるのはやはりさすが)ので非常に興味深く、かつ母校らしい決断だと心の中で拍手を送りました。

ハズブロック群が改名した理由は、歴史の調査と投票にもとづくものです。その名の由来は、17世紀にこの村を切り拓いた初代入植者のファミリー名でした。キャンパスに名前が引き継がれたハズブロック家は当時、奴隷労働を使っていました。その黒歴史を恥じる学校、街の人たちは、次の時代のために名前の改正に立ち上がったのでした。

今、旧名ハズブロックは、ペレグリン(ハヤブサ)になっています。わたしもかつて毎日三食、しこたまお世話になったこの学食棟は、学生ラッパーの友人たちとの憩いの場でした。

ペレグリンの名には、アメリカで一時期は絶滅危惧種になりながら生き残ったハヤブサのように力強くあろう。そしてその「放浪者」という異名のとおり、あらゆる出自からここにたどり着き、門戸を叩く学生を受け入れよう、という意味が込められているそうです。

ホームページに映るすっかりきれいになったキャンパス、変わらない大きな池を見ながら、懐かしさと称賛に涙があふれます。ニューパルツ、がんばれ!コロナが終わったら、子どもを連れていきたいと思います。遠いけど。

ハズブロックはペレグリンに!

無知に気づくこと

無意識の差別、無知に気づくこと。それがあらゆる多様性を強みに変えるスタート地点だと思います。見えない偏見はいたるところにあふれています。そのひとつひとつに気づくことで、わたしたちは変われます。

いつもと違うトピック、音楽、きっかけはなんでもいい。フェミニズムはそのひとつです。知らない違いに気づく心の中の半歩が、ダイバーシティ、インクルージョン、サステナビリティという、世界の大きな渇きをいやす一滴になるはずです。

まいりました、ミュージックビデオ。「様々な壁を越えられる」「何歳だって挑戦できる」にまんまとやられました(笑)。わたしも勇気をもらい、挑戦する人の背中を押したいと思いました!

みんな、コロナを超えて、変われるよ!!

参考:IABC APACウェビナー多様性とインクルージョンがもたらすイノベーション」 録画:YouTube スライド:SlideShare 

超えていこう!

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