広報の書き方(上)「なぜ?」から入る

広報の書き方(上)「なぜ?」から入る
 
 

広報というと、皆さん何を思い浮かべるでしょう。人によっては広報紙 を思い浮かべるかもしれません。数多くの文書を作成するPR会社の現場から、 企業広報で使える「伝わる書き方」をとあわせて紹介します。

「なぜ書くのか」が分かるまでは書かない

ちまたには、さまざまな広報文書のテンプレートがあり、無料で簡単にダウンロードできます。プレスリリースも広報からのご案内も、そうしたものを使えば、さほど経験がなくても一見それらしい形ができあがります。

しかし、文書の見栄えやツール使いにどう技巧を凝らしても、読み手、とくに情報を取捨選択して報道するジャーナリストやメディアからは、本質を見抜かれます。なぜなら、すぐれた広報文には書き手の真意、配慮などがこもり、読み手の心に訴えるからです。逆もしかりで、形ばかりの文書は、読み手に記憶してもらえないだけでなく、使い方を間違うと悪い印象すら与えかねません。

つまり、何を書くかよりも、「なぜ書くか」が腹落ちしていないと、目的から逸れた文書を作ってしまう危険性があるのです。有限な時間、お金を使ってものを書き、自己・自社評価を下げては、広報として本末転倒です。これは単純なことに聞こえますが、組織の広報を担うと、決められた時間やリソースの割り振りの中で、つい思考が固まってしまいがち。結果として手段が先行し、目的を見失う恐れがあるのです。

おもな広報文書

PR会社の現場で書く定形的な広報文書は、おもに下記のとおりです。だれに何を伝えるか、目的と手段を整理してとりまとめます。

大切なのは 「何を誰に伝えるか」

しかし、文書の名称をみて前例にならって書き始めると、たいてい形骸化してしまいます。会社や組織を代表する文書を書く場合、間違いや誤解を招かない技術と慎重さが必要となるため、どうしても形にとらわれがちだからです。

視点を変えるには、「会社のため」「部署のため」「上司のため」といった、書く時に頭にありがちな「誰か」(承認者や評価者など)をいったん忘れることが大切です。なぜなら、伝える相手は読者であり、その意味でその誰かは傍観者でしかないからです。上の人を過度に気にせずに、「何を誰に伝えるべきか」を考えましょう。

それこそが、「目的」に立ち返るポイントです。書くものが「新製品のプレスリリース」なのか、「報道取材のご案内」なのか、「一般読者へのイベント告知」なのか、あるいは「コミュニティの広報紙」なのかで、入れるべき内容、文調や挿入する写真などが大きく変わってきます。

これらを整理することが、どの形式を選ぶのがよいか、を考えることにつながります。もしかしたら、思いこんでいたカタチよりも、もっとよい選択肢があるかもしれないのです。

次回はおもな広報文書ごとの要点をまとめます。

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