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2021年を勝ち抜くコツ、5つのポジショニング原理

「広告ではブランディングはできない。ムダに広告費を使うより、PRを活用せよ!」これは、2003年に当社が監修上梓したアル・ライズ(Al Ries )氏、ローラ・ライズ(Laura Ries)氏の父娘共著『ブランドは広告でつくれない 広告vsPR (日本語) 単行本』(翔泳社)のメッセージです。世界104カ国、60万人が視聴したワールドマーケティングサミット、eWMS 2020でそのローラ・ライズ氏が、PRや広告に欠かせない、米国・中国経済を意識したポジショニングの原則を語りました。 

そもそもポジショニングとは、アル・ライズ氏の著書『Positioning: The Battle for Your Mind』が描くとおり、 1980年代から注目されるようになった「消費者マインドに占める位置付け」を指します。

今、ポジショニング概念は新しい局面を迎えています。 ローラ・ライズ氏が語る、生き残りのためのポジショニング原理5か条を見てみましょう。

(1)最初からグローバルビジネスを狙え

その第一は、「グローバル NOT ナショナル」つまりグローバル市場を意識した市場と製品の戦略展開です。約14億人の人口を数える中国ですら、国内の売上では経済を賄えず、アグレッシブな輸出によって経済大国になっています。

では商品展開のコツはというと、「市場が大きいほど、製品を絞り込むことが必要」。厳しい競争の中で突出した勝利を勝ち取るには、「なんでも取扱う村で唯一のお店ではなく、商材を限定した都会のセレクトショップの中でトップになること」。これにより、世界都市でも勝ち抜き、人気ナンバーワンブランドになることができるのです。

ちなみにアメリカの強みは、グローバルブランドに支えられています。インターブランド「Best Global Brands」調査によると、世界のトップブランド100のうちアメリカブランドは52と過半数を占めます。それは、アメリカ発のブランドがそれぞれ高い専門性を持ち、消費者マインドにおけるポジショニングを確立しているからと解説します。

(2)顧客でなく競合に注目せよ

第二は、「コンペティター NOT カスタマー」。消費者マインドを奪い合うポジショニングにおいて、「顧客に焦点を当てると失敗する」「見込み客のマインドを勝ち取れ」と指摘。アメリカの航空会社大手、ユナイテッド、USエアウェイズ、デルタ、アメリカンのいずれも広範な顧客争奪戦に敗れて破産したのに対し、エコノミークラスに絞ったサウスウエストだけがポジショニングにおける成功を収めています。つまり、他者より良い製品を目指しても勝ち残ることはできず、差異化できて初めて生き残れるのです。

ローラ・ライズ氏は「Be Different(違うものであれ)」と説きます。その好例として挙げられるがエナジードリンクの草分け的存在、RedBullです。同じ8.3オンス(約240g)缶で何百もの他社製品がでもっと良い名前、パッケージを目指して投入されますが、消費者にそれらの違いはなかなか伝わらないと言います。唯一、RedBullに肉薄するのが、16オンス(約455g)缶とサイズで明らかな違いを見せるMonster。これが、ポジショニングの妙なのです。

(3)徹底的に絞り込め

かつてはGM、GE、IBMなど1つのブランドがありとあらゆる製品を手がけてポジショニングを獲得していましたが、それは過去のパターン。それまでのメガブランドがさまざまな製品ラインナップを展開して逆に廃れ、失敗した例は枚挙に暇がありません。

そこで第三は、「ナロー NOT ブロード」。今日、焦点の絞り込みの重要性が強調されます。ポジショニング原理では、市場で勝つのではなく、消費者マインドの中で勝つ、というのが原則です。一人ひとりの忙しい頭の中に切り込むには、他にない研ぎ澄まされたナイフを鋭角に差し込むようなアプローチが必要。例えばクルマの場合ならば、走行距離、インテリア、走り心地などすべてを盛り込むのは鈍いナイフと同じ、それでは刺さらずポジショニングを確保できません。

実は世界有数の販売台数を誇る高級車ブランド、BMWもかつての戦略は後者でした。冒頭のメガブランドの話で触れた、「ワンブランドにすべてを盛り込む」の誤謬によって、ヨーロッパ輸入車ブランドの中で11位に留まっていました。そこで、走り心地に注力。「The Ultimate Driving Machine(駆け抜ける歓び)」を打ち出した結果が今日のポジショニングにつながっています。

一方でローラ・ライズ氏は「誰しも立ち位置を広げたくなるもの、しかし商機は”絞り込むこと”以外にない」と口酸っぱく繰り返します。それを実践したのが中国の自動車メーカー、長城汽車です。香港証券取引所に上場、中国最大の民間自動車ブランドの長城はかつて、軽トラックからセダン、ミニバン、SUVにわたる9ブランドを展開していました。ライズ氏は、SUVへの絞り込みをコンサルティングし、コンパクトなハヴァル(哈弗)ブランドの爆発的な成功に貢献していると言います。

(4)ブランドは複数展開すべし

ここで、半ば逆説的に「ブランド展開は複数カテゴリーで」と主張。第四は、「マルチプル NOT シングルブランド」です。21世紀のグローバルブランドは、多カテゴリーで構成すると説きます。

事例として、アップル、コカ・コーラ、P&Gなどが挙げられます。アップルではMac、iPhone、iPadなど4ブランド、コカ・コーラならばCoke、アクエリアス、ミニッツメイドなど20ブランド、P&GはSK-II、パンパース、Oral-Bなど25ブランドを展開しています。

引き合いに出されるのは、富士フイルムが競ったかつての世界的フィルムメーカー、Kodakです(カテゴリーそのものが消滅して2012年に破産)。なおKodakは、早期からデジタル写真の領域に進出していましたが、誤りは上述の「ワンブランドにすべてを盛り込む」戦法でした。Kodakという名前が故に、新しいポジションを築けなかった、新しいブランド名を展開すべきだったと考えられます。

人間の頭は、PCのフォルダー階層のようにブランドを記憶します。まず、電気自動車メーカーと言って消費者マインドに上るのはまず先行するテスラ。同社の場合、電気自動車に特化しながら複数モデルを展開してポジショニングを確保しているのです。

(5)最速の視覚を使う「ビジュアルハンマー」

第五のプリンシプルは、「ビジュアル NOT バーバル」です。 今日の情報過多、文字の洪水は誰もが頷くところ。消費者マインドの中でポジションを築くには、視覚に訴えるのが先手必勝。そこに添えられた文字が多少間違っていたとしても、人間は直観的に視覚に画像を捉え、心情的に共感するからです。これは感情に訴える視覚情報を処理する右脳のポジショニング効力が、言語に結びつく論理的な左脳に勝るからです。

その例には、コカ・コーラのくびれがあるボトル、Marlboroのカウボーイ絵柄のタバコパッケージ、いずれも赤を打ち出すものが挙げられます。「強いのは記憶に残り続ける、言葉すらないビジュアルハンマー」と鋭く指摘。マクドナルドの店舗を遠くからでも見分けられるロゴ、いわゆるゴールデンアーチも好例です。

コロナ、といってもビールのほうのコロナは、ボトルに挿した一切れのライムが本物のメキシコらしさを象徴し、レモネード文化のアメリカ市場に刺さったと言います。

以上、グローバル市場差異化製品絞り込み複数ブランド展開ビジュアルを押さえることが、 PR、広告に携わるプロが押さえたい 「永続するポジショニング」の基本です。

運営者情報
共同ピーアール株式会社

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