ブランド広報

ブランド広報とは(目的と意義)

ブランド広報とはブランドの期待価値を最大化するための、コミュニケーション戦略

具体的には、ステークホルダーをブランドの価値創造へ参加させること。

1.「ブランド広報」が注目される三つの理由

ブランド広報が注目される理由は大きく分けて三つ存在する。

まず第一の理由は、企業の提供する商品、サービスの差別化が一層困難になったことである。
今の時代、どの商品、サービスも品質、機能、価格、デザインも他社との差はない。あったとしても、短時間でキャッチングされてしまう。この差をつける決め手がブランドになっているのが今の時代である。

第二の理由は社会の成熟化に伴い、ユーザーの価値感(期待)が分化し、一つにくくることができなくなったことである。また企業活動の幅も多岐にわたるとともに、M&A等でその継続性も見えにくくなっていることがあげられる。ブランドを保有する企業(グル―プ)が変化していくことが日常的になった現在、ステークホルダーの期待感の受け皿として「ブランド」は新たなステージを迎えることとなった。加えて、そのブランドで働く一人一人のモチベーションを「ブランド価値の継続と発展」に置くことがブランドに求められるようになったといえる。

第三の理由としては、サプライチェーンの進展に伴い、消費者の評価が単一の企業に対して行われるより、サプライチェーン全体を通して創られた価値に対する総合的な評価になっていることがある。 そもそもサプライチェーンとは、資本効率の最大化を追求した全体最適を目指す活動であるが、現代においては、ブランドが提供する価値の最大化を目指すことがその目的としてクローズアップされており、そこに参加する企業や従業員のモチベーションをブランドに対して持たせることが期待されるようになったのである。

2.ブランドとは「期待価値の記号化」である。

ブランド広報を語る上で「ブランドとは何か」について確認しておく。
ブランドに対して人は多くのことを「期待」する。品質の安全性・安定性をはじめ、そのブランドを利用して得られる優越感、そしてそのブランドを利用することによる「自分らしさの創造」など多岐にわたる。
つまりブランドとは、多くの人の多くの期待に応える価値を表現したものなのである。これをモデル化すると以下のようになる。
ブランド価値=Σ(期待の重要性×ブランドの持つ実現可能性)

3.ブランド価値を創るのは誰か

ブランド価値を創るのは「メーカー」である、と短絡的に考えがちである。確かに「製品」を造るのはメーカーである。しかしブランドとは単体の製品だけで成り立つものではないことは改めて言うまでもない。その「製品」を「商品」として価値づけていくためには、その商品を提供する方法や、様々な付帯するサービスなどによって始めてブランドとしての「期待価値」が形作られるのである。

ここで改めて指摘したいのは、この価値創造に「ステークホルダー」が深く関与するということである。iPhoneを例に挙げるとこのことは理解しやすい。もちろんアップル社が提供する独自の機能性やデザイン性がスタートであることは間違いない事実である。 しかし、iPhoneブランドの価値はそれだけでなくiPhoneの活用度を向上させる様々なアプリメーカーの存在を抜きにしては語れない。加えてiPhoneを使いこなし、その利用法を自ら発信していく「ユーザー」。そして、発売を待ち望み店頭で長蛇の列を作るヘビーユーザーたち。 これらが複合して「iPhoneブランド」の期待価値を創造・向上させているのである。

4.「ブランド広報」とは「価値創造ネットワークの開発」である。

以上のように、ブランド広報とは「ステークホルダーを対象とした価値創造ネットワーク」への参加を促進することである。アウターステークホルダーは言うまでも無く、 インナーステークホルダーの期待価値を高め、ブランド価値づくりに対するインナー(サプライチェーン含む)のモチベーションを最大化することが必要である。 また、近年のブランドはユーザーだけでなく製造やサービス面に於いて国際化が著しく、グループ広報に加えグローバル広報の視点を明確に意識していくことが求められる。

価値創造ネットワークの図