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広報の書き方(下)伝えるだけではダメ、「何のためか」

スマートフォンとSNSの浸透で伝えることが簡単になり、誰もが情報過多の今。情報の受け手は、時に読むだけで心身がすり減ります。情報は、ほしいものだけ、わかりやすくコンパクトに提供してほしい、というのが読み手の切実な思い。それに応えるよう、前回に続き企業広報としてものを書く時の要領を整理してみましょう。

装飾はバッサリ削ぎ落し

書き手になると、伝えたいがために、つい文章を長く、複雑にしがちです 。それに読み手は興ざめします。

だからこそ、伝えるために注力すべきは「いつ、誰が、何を」の装飾、周辺情報の削ぎ落としです。これにより、伝えることで読者に起こしてほしい行動を明確にできます。いま、なぜあなたが、そのことを伝えなければならないのか、読者に何のメリットがあるのか。これを簡潔に見せないと、読み飛ばされます。

では広報文書のタイプ別に要点を見て見ましょう。

プレスリリース、ニュースリリース等の発表は、報道機関にまず読んでもらい、ニュース性を評価して報道してほしいから書きます。そして公式発表として一般読者にも読み、評価してもらいたい、というのが二次的な公開理由です。そのために、一次読者である記者に、ニュースの基礎となるファクト(発表日、発表者、発表内容)とともに、新規性、時節性、社会的影響など情報価値を伝える文書となります。

視覚的に条件反射を呼ぶようなタイトルとビジュアルが、広く読まれ反応されるプレスリリースの肝となります。しかし、報道はすべて事実に基づくのが原則なので、無理な誇張、無関係な写真などは禁物です。

プレスリリースは、本文は1ページ程度、それ以上の詳細があれば添付等にして、コンパクト等にとどめるのが一般的です。翻訳版の場合は、自社を賞賛する形容語句などは取り、あくまでも事実が何なのかがわかるよう整理するリライトが、文書の質を大きく左右します。

案内状は、報道機関向けか、一般読者向けかで異なります。報道機関であれば、対象の記者やジャーナリストに、イベントの趣旨、取材内容を把握して取材に来てほしい、願わくば報道してほしい、あるいは報道しなくてもまず知ってほしいから書きます。一般読者向けのイベント案内であれば、登壇者、見どころなどベネフィット(良さ)を伝えて、参加してもらいたいから書きます。

ここで大切なのは期待値のコントロールです。登壇者の社会的影響力、会見や取材ないしはイベントの内容、撮れる絵などの判断要素とともに、時間や場所、発言内容や撮影場所などの制限事項、注意事項があれば必ず事前に伝えます。

広報は、発表・発信者と受信・報道者との関係をとりもつパイプ役なので、案内状ひとつをとっても、混乱なく双方がハッピーになるスムーズな段取りをするのが最重要課題なのです。

ニュースレターは、プレスリリースや取材にならないけれども、時節や時流を象徴するイベント、テーマなどを文書にまとめたものです。忘れられないよう興味喚起をしたり、アップデートとして新しい情報を伝えたりするために書きます。興味喚起、認知向上が目的です。報道機関向けに書いたものを、自社サイトにアップロードして一般向けにも公開して、ファン形成に使うこともあります。

広報は、新しいPR素材が次から次にくる時ばかりではありません。発表がない、会見、取材、イベントもない、となると、社内に眠っている情報の価値を見直し、社会的にインパクトのある側面を引き出してニュースレターにすることができます。社内のタレント(人財)に会社を象徴する特殊技能、知識などを持つひとがいたら、ニュースレターでPRデビューさせるのも有効です。

最後に社内向けの広報紙は、組織の事情を共有し、賛同・協力してもらうために書きます。そのため、まずは経営陣など社内でもっとも影響力のあるひとを取り上げるのが、心理的な注意喚起に効果的です。

そして、社員が会社に共感してもらえるよう、楽しいイベントなどを、それを作ってくれている社員に光があたるように書くと、組織の透明性が高まり、意思疎通しやすくなり、モチベーション向上につながります。

広報紙で気をつけたいのが、伝え方です。組織の中で広報紙づくりが形式化していると、読み手が求めるフォーマット、タイミングと乖離した、旧態依然のままになっている場合も見受けられます。広報は読み手のため、という原点に立ち返って、形から見直す必要があるかもしれません。

PRは目的と継続が肝心。ゴールを見極め、さまざまな文章を通して、大切なメッセージを届け続けましょう!

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