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PR会社ママ社員、ビジネススクールに挑戦

新型コロナウイルス対応に追われながらも 新年度を控えたこの季節。社会人の学びについて、子育ての最中にささやかながらPR会社で働くワーママ社員として、私の体験談をご紹介します。

出会いは突然に

育休からPR会社に復帰し、1年ほどたったある日、いつものように通勤電車でフェイスブックを眺めていたところ、ビジネススクールの広告が流れてきました。

そのとたん、勉強しなくていはいけないのではないか、という焦燥感が襲ってきて、いてもたってもいられなくなりました。

その後一か月かけて数社のビジネススクールの説明会を回り、最終的には、カリキュラムを卒業すればMBAの取得ができるオンラインビジネススクールに挑戦することにしました。

宿題よりつらいものは…

宿題が多いスクールだとは聞いていましたが、オンラインとはいえ、やはり時間の制約とプレッシャーは厳しいものがありました。授業は2科目合わせて、毎週1回3時間程度、PCの前に座って積極的な発言や他メンバーとのディスカッションが求められます。

発言の数と質が評価につながり、だまって聞いていては単位が取れないので、強者が集まる中でそれなりに価値のある発言をしなくてはいけない、かなり緊張度の高い真剣勝負です。

その他に、予習復習に毎日2~3時間。子どもの寝かしつけとともに22時前には就寝してしまう私は、当時は朝4時に起きて家のデスクにかじりついていました。

当時の仕事量からすると、上記のペースで何とかやっていけるはずだったのですが、ここで子どもトラップが、、、

当時の娘は、寝かしつけはママじゃないとイヤ。授業が夜の日は早めに寝かしつけたいのですが、そういう日に限って元気いっぱい。なかなか寝てくれず、こちらはイライラするばかり。

怒鳴りつける、泣く、余計寝ない、の負のスパイラルで、残念ながらうまく寝てくれない時は、スマホにイヤホンを差して布団から授業に参加したり(発言はテキストで)、どうしても出席できない時は別日に振り替えたり、やむを得ず欠席する事もありました。

また、せっかく朝早く起きて宿題に取り組んでいても、途中で娘が起きると、「ママ一緒に寝ようよ」と布団に引き戻されます。

再度寝かしている間にも「この10分で資料の読み込みができるのに」など考え、焦って布団を出ると娘はまだ寝ておらずさらに布団に、、、結局宿題が進まず、他の日にしわ寄せがくる事もしばしばでした。

一番自分でも驚いたのは、「休日にパパとママと二人で公園遊びにつきあうのは時間の無駄」というようなことをうっかり口走ってしまい、夫の顔をひきつらせた事です。

さすがに自分でもその時は反省しました。

そう、この時期、私がつらかったのは朝早起きをすることではありません。

娘が起きてきたら宿題の時間を邪魔される、という子どもに対するネガティブ感情を抱えている自分が情けなく、さらに、毎日イライラ光線をぶちまけ、自己嫌悪に陥る、という負のスパイラルを抱えた日常でした。

今思うと、自分のふがいなさで、娘や夫には随分負担をかけたと思います。

ビジネススクールの勉強はPR業務の役に立つか?

結局、実家やきょうだい家族にも力を借りながら頑張って取り組みましたが、自分の精神力と体力に限界を感じ、9か月で一旦継続を断念しました。履修したのは、マーケティング、アカウンティング、ビジネス基礎など、5科目でした。

ビジネススクールの経験は業務に生かされているか―?

例えばPR会社の企画書でポジショニングマップが作れるようになった、決算(というか算数)に少し抵抗がなくなった、マーケティング用語に反応できるようになった、など業務に関するメリットは多少ありました。

また、他業種の人にPRという業界が全く知られていないことがよく分かった、ターゲットについて想像したりメディア戦略を考えたり、普段何気なくこなしている業務が、他の業界の人には意外と難しいこともある、など、外の世界に出て初めて分かることもありました。

まあ、それがクライアントや当社の売り上げや生産性に莫大な成果をもたらすようになった、とは言えませんが、私としては焦燥感から抜け出せたことで、クライアントやメディアと対峙する時の気おくれ感払拭につながった、という自己満足でよしとしています。

リカレント教育はタイミング?

今考えても、ビジネススクールの広告を目にした日、なぜそれほどの焦燥感に駆られたのか分かりません。

振り返ると、子ども(当時2才)がいることで他のメンバーに業務を負担してもらっており、以前に比べ業務量が減っていることで、自分のスキルが低下し、このままでは存在意義がなくなるのでは、といったような疑心暗鬼だったように思います。

人材サービス大手のエン・ジャパンの調査(日本経済新聞2019年9月2日)によると、リカレント教育(社会人の学びなおし)を受けたことがあるのも、リカレント教育に費やした金額も、男性より女性が多いそうです。私と同じように焦燥感を抱える女性は多いのでしょうか。

私がもっと学びを楽しめて、要領よく宿題を片付けられる性格か、最後までやり抜く強い精神性を持つ性格だったら、もしかしたらMBA取得まで続けられたかもしれません。あるいは、子どもがもう少し状況を理解できる4~5才だと、まだスムーズだったかもしれません。

ただ、私の場合、娘は4才になり寝かしつけの必要はなくなったものの、仕事の方は、いわゆるマネージャーになり業務も格段に増加。とても勉強に取り組む余裕がなく、どちらかというともっと仕事に向き合いたい、という気持ちも強いため、再度リカレントに向かうのはまだまだ先になりそうです。

タイミングが重要、と知っても、やってみるまで分からない、挑戦あるのみ、といったところでしょうか。

子どもに残せたものは?

あのハードな日々と今の生活を比較して、今改めて優先したいもの、それは娘への向き合い方です。

小学校にあがるまでのあと2年くらいは、もう少し子どもとガッツリつきあう時間を大切にしてもいいかな、と思っています。

子どもと外に出でば、PRパーソンには欠かせない、世の中のイベントやスポットなど、新しい刺激や情報に出会えます。なかなかいう事を聞かない相手とのコミュニケーションや忍耐力など、日々の生活から得るものも多いものですし、何より、 子どもの感性は豊かで、何気ない一言に癒される瞬間は、日々のハードワークには欠かせません。

ちなみに、宿題をしていたデスクは、当時モチベーションアップのために、多少奮発して購入したものですが、今は物置状態、、、しかしこのデスクがある部屋は、いまでも子どもには「お勉強の部屋」と呼ばれています。

もしかしたらこのリカレント教育経験で私が得たものは、スキルというモノのほかに、子どもに勉強する親の背中を見せられたコトかもしれません。

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