PRとはなにか ~PR会社の現場から(グローバル)~

PRとはなにか ~PR会社の現場から(グローバル)~
 
 

本サイトに来られた方は、PRの基礎を知りたい、PR会社の情報収集をしたい、といった目的をお持ちでしょう。社会の情報量が増え続ける中で、「少しでも目立ちたい」という発信者のニーズに応えようと、さまざまPR解説記事が出されています。しかし、あふれる情報の海を泳ぐようなPRの全貌は、ますますわかりづらくなっているのが現状です。だからこそ役立つのが、現場の生きた情報です。

ここでは、世界60カ国70拠点のGlobalCom PR Networkのネットワーク、年間5000プロジェクトに上る実績をもつPR会社としての観点で、世界共通のPR事情を紹介したいと思います。

タレントも政治家もPR会社のお客様?

そもそもPRとは、戦後アメリカから日本に紹介されたPublic Relationsの略として、さまざまなメディアを介した社会との信頼関係のためのコミュニケーション活動全般を指します。日本語では広報・PR、とくに行政機関では広報広聴と訳され、多くの企業や組織にPR担当の部署や担当者が置かれています。

こうした企業・組織内の広報担当者はインハウスPR等と呼ばれます。多くの場合、社内(情報の調査や整理、部門間調整、発表内容の承認作業、発表者の準備支援)に多くの時間を割きます。そして、プレスリリース、取材、記者会見、SNSといった形でその発表を伝える相手先となる報道機関にコンテンツを提供する、いわゆる報道対応を行います。

これ以外にも、タレントや政治家の情報発信、企業や産業の広告キャンペーンなど、報道対応とは異なる場面でしばしばPRという言葉が使われます。デジタルメディアの浸透により広報と広告の境がみえづらくなるとともにPRの幅が広がり、市場が拡大しているのです。

GlobalCom PR Network Annual Meeting 2019 撮影:Angelika Güc

ひとくちにPRといっても広報予算は広告の100分の1?

ここでPRとはなにかを語る上で、広報と広告の違いを整理する必要があります。なぜなら、マーケティングにおけるそれぞれの組み立て方と予算、外部の関わり方が違うからです。

広報と広告は、マーケティングにおけるプロモーションの一環で行われます。ただし、その予算は10倍~100倍の開きがあります。

その理由は、

・広報では情報の価値(面白い、新しい、感動する、など)が記事になり、媒体予算は不要

その一方で

・広告ではタレントのキャスティング、クリエイティブと呼ばれるコンテンツの制作、露出する媒体枠の購入、デジタルマーケティングなど、より多くの工程と莫大な資金が必要

だからなのです。

これらを総称してPRと呼ぶこともあります。

広報と広告の違い


広報(ここでは社外)

広告
コスト
プロセス 情報発信→報道露出の有無→報道分析→効果測定 クリエイティブ制作・媒体枠購入→露出→接触→コンバージョン→効果測定
伝える相手 企業⇒ 報道機関⇒ 視聴者・読者 企業⇒ 視聴者・読者
専門会社 PR会社 広告代理店

つまり、ひとくちにPRといっても、広報は媒体コストなしに報道対応してメディア露出をもたらしますが、広告は資金を投じてクリエイティブを制作しメディア露出を買い取るのです。そして広報はPR会社が、広告は広告代理店が、企業や組織のサポートに入り業務を代行します。PR会社は、クライアントの報道対応を支える裏方として、取材や記者会見などの現場で力を発揮します。

いわゆるPRと呼ばれるものの多くが、こうした広告と広報を組み合わせたメディアミックスで成り立っています。総合的なコミュニケーションを通して、訴求する相手つまりオーディエンスへの情報発信、接触、行動(コンバージョン)の促進を行っているのです。そのプロジェクトの規模が大きくなると、PR会社はもちろん、広告代理店、デジタルマーケティング会社、イベント会社、タレントキャスティング会社など、何社もが業務分担しながら進行管理していきます。

次回は、日本の状況について説明します。

取材協力:共同ピーアール株式会社

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