いやしポイント、気づけPR!
 
 

うつは心の風邪、と言いますが、コロナ禍を経験するとウイルスに近いかもしれないと思います。メディアにはSNS悪用やプロテストの惨事が駆け巡り、いっそう心を痛めます。こんな時、PRでつながる仲間は、「心のケア」をいっそう大切にしています。

誰しも、時に簡単に自分を追いつめてしまう。すると人は、平静に戻れない心や、理不尽な行動に囚われてしまいます。だからこそ匿名の誹謗中傷や、差別による痛ましい事件を止めるために、声を上げなければならないのです。

オーストラリアの事例、ビクトリア消防庁(Ambulance Victoria)*では、エッセンシャルワーカーである救急救命士が、患者の命を最優先、自分を犠牲にするあまり心を病み 、家族と離別し、孤独になっていました。その状況を変えるべく、長期的なコミュニケーション戦略に取り組んだ Mairi Barton 氏は Gold Quill Awardを受賞しています。弱音を吐かないことに固執していた救急救命士の文化を変え、メンタルヘルスを改善しているのです。*Mairi Barton, SCMP YouTube Blog

つまり、 仕事内容による個別のケアが重要です。 それは、わたしたちのようなPRでも同じなのです。

PRプロフェッショナルのためのメンタルケア

イギリスのCIPR State of the Profession 2019調査では、1500人のPRパーソンの5人に1人(21%)がメンタルヘルス障害と診断され、23%がストレス、不安、うつにより病気休暇を取得しています。回答者の53%がそうした症状の理由を、「無理な締切」、「負担が大きい業務時間」と挙げています。

そして「メンタルヘルスの相談を上司にしても何もしてくれなかった」という回答が 23%を占めました。

PRパーソンの23%がストレス、不安、うつにより病気休暇を取得  
出典:英 CIPR State of the Profession 2019

オーストラリアのNever Not Creative & Everymind, Mentally Health research, 2018調査では、クリエイティブ、メディア、マーケティング分野の1800名中、56%がうつ症状を覚えており、全国平均より20%高い結果となっています。

クリエイティブ、 メディア、マーケティング業界は56%がうつ症状、全国平均を20%上回る
出典:豪 Never Not Creative & Everymind, Mentally Health research, 2018 / SlideShare

メンタルヘルスを左右するひとつの要因はストレス。57%の回答者がストレス症状を抱えています。その理由は、「プレッシャー」、「他の人からの圧力」、そして「複数の仕事のかけもち」です。これにより3分の1が月に1回以上、週末も働いています。
さらには75%が、人のために、そして人に見下されないようにと、身体か心のいずれかが不調でも仕事をしているのです。

メンタルヘルスの理解度は52%と半数以上。89%がうつを抱える人と働くことをサポートしています。一方で、自分がうつと診断されてもそれをカミングアウトする人は29%しかいません。

こうしたメンタルヘルス状態を恥ずかしいと思う層は年齢とともに多くなっています。「メンタルの病があると仕事上、面倒に扱われる」と考えるのは、17歳~24歳の26%に対し、45歳~54歳では48%とほぼ半数に上ります。

こうした現状下でも、メンタルヘルスのプログラムを提供している企業は3分の1どまりです。

自分を大切にすること

Never Not Creative & Everymind, Mentally Health research, 2018調査結果は、大自然、のびのびとしたオージーのイメージと異って映ります。まじめな日本のPRパーソンと同じだ…、とPRのサガを感じざるを得ません。

しかし恐れることはありません。メンタルヘルスのカギを握るのが仕事の満足度。とくに、いろいろな任務を担い、定型業務を繰り返さずに新しいことを学び、いつどのように働くかを自分で決める自主性をもっていることが、メンタルヘルスをポジティブにする、と同調査分析が示しています。

上述の Mairi Barton氏は、自身のつらい経験を糧に、救急救命士たちを救うメンタルヘルスプログラムを始めました。立ち上げるだけではなく、経営者のコミットメントを取り付け、「タフでなければ」と思いこむ救急救命士の心と頭をほぐし、メンタルヘルスの改善を数値化して達成していきます。自分の痛みを共有することで、人の心を癒し、あらゆる人生をポジティブに変えているのです。

そこで強調されたのが「自分を大切にすること」自分を保てなければ人を救うことはできません。

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だれしも心が疲れることがあります。
心にもやもやを抱えていたら、吐き出しましょう。

とくに、まだ任務が少なく、定形業務の繰り返しによって仕事を覚えだす新人さんは悩みを抱え込まないで。PRでは、いつどのように働くかを自分で決めること、ましてやクライアントに自信をもって提案や意見を述べられるようになるには時間が必要です。日々の積み重ねの上に、年月とともに成果、成功が生まれます。いま、自分は仕事ができないと、心配しないでください

加えて日本では、6月1日から大企業(サービス業の場合、資本金5000万円以上、従業員数100人以上 )にパワーハラスメントの防止措置が法的に義務づけられます。中小企業にも2022年3月31日までの努力義務期間が設けられた上で、2022年4月1日にパワハラ防止法が施行されます。もし新しい環境で心を病みそうになっても、あなたを守る環境は整ってきています。不調を感じたら、まずは仕事そのものについて心の声を上げ、メンタルヘルスを保つようにしましょう。職場の仲間と対話するようにしましょう。

一日を通して自分を大切にするコツは、「食事」、「運動」、「生活リズム」、「日光」のメンテナンス(引用: 日経ARIA「うつを食い止める 和食習慣・運動・生活リズム」)。こうした日常がまさに心を明るくしてくれます。

わたしの工夫は
・常温の真水を飲む(冷え防止)
・散歩(太陽や自然を愛でる)
・ビデオ飲み会(安心できる人と発散)
です。

いくつであっても誰であっても、自分を解放して、自分なりの心のケアレシピを作ってPRしませんか?
それが 自分でできる、 PRパーソンだからこそできる、そして人と組織を守る、究極のメンタルケアではないでしょうか。

■ 日経xwomanアンバサダーブログ 「うつ対策にセルフリーダーシップ! 」を再構成しました。

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