人生を変える―休みの達人
 
 

アキレス美知子さんというすごい人事のプロが入った」とSAPの話を耳にしたのが2015年。記者会見などテクノロジーPRの裏方を務めながらもなかなか接点がなく、5年経ってようやく取材することができました。光沢ある上品な真紅のスーツに身を包んだSAPジャパン人事戦略特別顧問アキレス氏は、晴れやかな笑顔、大きなオーラ。「あ、アキレスさん!」と見つけた社員がみなキラキラした目で声をかけるのを見て、愛を感じました。安心して、 IABC APACウェビナー多様性とインクルージョンがもたらすイノベーション」に向けてアキレス氏の見解を聞きました。 ( ※ 録画:YouTube スライド:SlideShare

ゲタとハシゴの経済効果

日本の政治経済では、男性がゲタをはかされて取り立てられるのに、女性はハシゴを外され、見えないところで足を引っ張られているのというのが、残念ながら累々(るいるい)とした事実。アキレス氏は「日本の会社でダイバーシティ議論は1にも2にも女性がメイン。なぜなら身近なダイバーシティだから」「労働力不足、デジタルやAIの人材不足解消のためには女性の育成が必要」と語り、その経済効果を裏付けます。

それなのにジェンダーギャップが改善しない理由は、男女その他ともに「女性が家庭を守るべき」「女性は辞める、いつまで働くか分からない」「男性が外で働いて稼ぐもの」といった、はや数十年前に機能停止している成功体験、社会的なすり込みがあるからです。企業や自治体が生き残るためには、固定概念に縛られていない層への働きかけ30代のチャレンジし甲斐ある層に権限を与える男性は1カ月の育児休暇取得の義務化、といった施策実行が有効と、アキレス氏は述べます。

成功はビジビリティから

一方で、有給さえとりづらく、休みを取ることを「昇進から遅れる」「周りに取り残される」と考えがちな日本。多くの女性はそれに加えて、「家庭を空けて仕事をすることの罪悪感」すら持っています。休みと仕事のジレンマに戸惑ったらいったい、どうしたらよいのでしょう?

40年仕事をする中で1年なんてたいしたことない」とアキレス氏は言い切ります。「大事なのは期間でなくタイミング、あらかじめの準備が必要。能力、実績はもちろん、いろいろな人とのつながりに加えて、自分のビジビリティを上げる(見えるようにする)ことが成功のカギ」と断言。「男女問わず、自分がしていることを上から、人から見えるようにしておけば、どのタイミングでどの波が来るか見える」「すると、“あの人がいいんじゃないか”と引き上げてもらえ、休みを受け入れられる」と説明します。

SAPジャパン人事戦略特別顧問 アキレス美知子氏

休み上手は目的とタイミング

休みを「期間」「時間」で考えるのは止めよう、と考えさせられるのは今のコロナ禍でこそ。まだまだ続く外出自粛で生活ペースが乱れ、「9時~5時は仕事しよう」「土日だから休もう」という切り分けがあいまいになるからです。それよりも、「今は仕事」「今は休み」と心のスイッチを入れ替えるのが、ストレスをこまめに取り除くコツではないでしょうか。

わたしももう7年前、育休明けに復職した後、11カ月のロスへの引け目、孤独感、疎外感から仕事もできずに引きこもった時期がありました。その時は絶望的でしたが、未来を信じて「病を治そう」と試行錯誤するうちに、たくさんの殻を破ることができました。当時の休暇はわたしにとって苦い休みでしたが、あれがあったので今がある。ようやく自分を信じられるようになった実りをもたらす休みでした。

だからこそ、 日経doors 「アキレス美知子 休みたいときは神様が休めと言っている」 で語るアキレス氏の「何のために休むかというはっきりとした目的を持つことが、休み上手」という言葉に励まされます。そうであれば、今は旅行は難しくとも、今日の5分、10分でも、「怒りを発散する」「好きな番組を観る」「体を動かす」などシンプルなことから始められます

心から欲する休みを

ちなみにわたしにとって読み書きは癒しです。課題や不安、モヤモヤを可視化、言語化できるからです。だから四六時中、いろいろなものを読んでは書いています。その中で、クライアント成果のための金銭的報酬を伴うものは「仕事」、それ以外は「プライベート、休み」です。

自分の好きなことをしながら、仕事にもプライベートにも役立つ。そう考えると、24時間の切り分けが難しいリモートワーク中も、いろいろなことをベストマッチできるよう、試行錯誤で毎日を楽しめます。

休み方の達人、アキレス氏のキャリアは育児、転職、病気、留学と驚きの連続です。上述の記事を読んでわたしは初めて、取材で触れたアキレス氏の輝きの理由、言葉の重みを思い知りました。

人生100年時代、たくさん働いて休むことは、たくさんの幸せを見つけるきっかけになります。どの出会いも運命。

そう、あなたがこのブログを見つけたのも、神様のしわざかもしれません。自分が「心から欲する休み」をぜひ持ちましょう。

IABC APACウェビナー多様性とインクルージョンがもたらすイノベーション」 録画:YouTube スライド:SlideShare

■ 日経xwomanアンバサダーブログ 「うつでも病気でも極上の休みを楽しむ方法」を再構成しました。

運営者情報

(中央)SAPジャパン人事戦略特別顧問 アキレス美知子氏、(右)SAPジャパン広報シニアディレクター、(左)筆者

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